
10月のはじめ、いつもどおりカメラ片手にぶらり散歩をしていると、見慣れない蝶に出会った。
中学の頃、昆虫採集、特に蝶を集めるのが好きで、標本作りをしていた経験がある。
3年の夏休みの自由研究では、自宅周辺で採れる蝶と題して提出した。
標本箱もその辺の板切れとガラスを利用して手作りし、標本ラベルも図鑑を見ながらの手書きであった。
提出後、担当の理科教師が私には内緒で、よみうり学生科学コンクール(そんな感じの名称だった)に出品し、
幸か不幸か入賞、賞状ももらってしまった。
標本作りはその後全くしていないが、その時仕入れた知識のおかげで、自分の住んでいる地域内で見ることが
出来る種類は今でもだいたい分かるから、若い時の記憶というのはすごいと思う。。
7~8年前から私の住む横浜市内でも南方系のナガサキアゲハが見られるようになり、
これも温暖化の兆候かもしれないと、知人・友人に良く話をしていた。
その時もすぐに今まで見たことがない蝶だと、私の蝶アンテナが反応した。
そして今回、またしてもピピッと反応したのである。

名前は「アカボシゴマダラ」。 タテハチョウ科に属する蝶である。
タテハチョウというのは止まった時、羽を上に立てることに由来しているが、
アゲハもそうするので、曖昧と言えば曖昧なところ。
で、このアカボシゴマダラ、本来は奄美大島とその周辺の島々だけに分布している蝶である。
それが5~6年ほど前から神奈川県を中心とする関東地方南部でも多数発生・定着するようになり、
毎年分布を拡大していることが報告されているとのこと。
マニアによる人為的な放蝶の可能性が高いようである。

撮影した時はアゲハの一種かと思ったが、ゆったりとした 飛び方、止まった時の羽の動かし方から
タテハチョウの仲間と見た。いや、タテハチョウより羽の模様が派手なのでゴマダラチョウか。
しかし、後翅の外縁にこのように鮮やかな赤い斑紋があるタテハチョウなど50年以上住んでいる
自宅周辺では見たことがない。おまけに口吻(こうふん)、丸まったストロー状の口の色が黄色と来たもんだ。
これも見たことがない。
マニアが放蝶したとしても、環境が許さなければ繁殖は難しいのが昆虫の世界。
それが拡大しているということは、関東地方の環境が、奄美大島近辺とそう変わらなくなってきている
ということなのだろうか。
撮影時はちょっと興奮気味だったせいか、絞りを絞るのを忘れてしまったため、
ややピントが浅目になってしまったのが残念なところ。
だがそれよりも、ナガサキアゲハの時と同様、自分の「アンテナ」が反応したことが素直に嬉しい。
ファインダー越しに見た、黄色の口吻の衝撃は、近年感じたことのない高揚感があった。
テーマ:昆虫の写真 - ジャンル:写真
- 2011/10/24(月) 13:07:31|
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